現在【道具】の項目を制作中。道具以外はこれから増やしていきます。

糸 いと thread

糸っていっぱいあるけれど、どれがいいの?

使う生地や厚さ、用途によって変わります。

糸の先をよく見てください。一本からボソボソと糸が分かれていると思います。複数の糸をよりあわせて強さと一本の形をつくっています。
 
糸のよりは方向によって2種類あります。
左より(Zより) 右より(Sより)
糸のより

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  • 片より糸 左よりまたは右よりによりをかけた1本糸のこと。紡績糸の場合は単糸といいます。
  • 諸より糸 2本以上の片より糸または単糸をあわせて元のよりと反対方向によりをかけて1本の糸にしたもの。
また
単糸2本をより合わせた糸を双子糸(二子糸)
単糸3本をより合わせた糸を三子(みこ)糸といいます。
 
ためしに糸先を指でつまんで左右どちらかにねじってみましょう。糸が緩む方向としまる方向があると思います。また手縫い糸とミシン糸では、よりの方向が逆になっています。
糸の形状

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糸の太さについて、細いうえに断面の形が複雑で直径では表しにくいため「長さと重さ」の関係で表示されています。
番手法(恒重式表示法)」は番手数が大きいほど細くなります。
 
(ちなみにタイツなどでよく聞く「デニール」は恒長式表示法。デニール数が大きいほど太くなります。)
 
番手で
#30/3  と書かれていた場合は 30番手の糸を3本より合わせたもの。(細口糸の例)
#20/3(Z)   と書かれていた場合は 20番手の糸を3本より(Zより)合わせたもの。(ボタンつけ糸の例)
番手の見方

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※使用法について詳しくは基礎縫い本縫いの項参照。

の数はおすすめ度です。

手縫い糸

hand sewing thread ★★★★必須

手縫い針で布を縫うための糸です。

手縫い糸には木綿ポリエステルなどの素材があります。板状や棒状の厚紙に糸が巻かれて売られています。厚紙には何用の糸なのか、素材、色の番号、何m巻かれているのか、番手などの情報が書かれています。

ミシン糸

sewing thread ★★★★必須(ミシンを縫う方)
 
ミシンで縫う時の糸です。
 
木綿ポリエステルなどの素材があります。ミシンでつかうには丈夫で手に入れやすいポリエステル系(商品名:フジックス社のシャッペスパンやテイジン社のエースクラウンなど)がよいでしょう。筒状のものに糸が巻きつけられています。(エースクラウンは主に工業用で使われることが多いですがご家庭でも使うことは出来ます)
上下には何用の糸なのか、素材、色の番号、何m巻かれているのか、番手などの情報が書かれています。

ミシン糸の種類

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  • 薄地用(90番)★★☆☆
  • 普通地用(60番)★★★★
  • 厚地用(30番)★★☆☆

白黒色は使用頻度が多いので、巻きの多い大きいサイズを用意するのもよいでしょう。

しつけ糸

basting thread ★★★★必須

しつけをする時につかう糸です。
  • 綿地の場合 カタン糸(しろもでも構いませんが目のつまった生地への穴の大きさが小さくて済みます)
  • ウールの場合 白も/色も(しろも/いろも)手で切れるほどのゆるいよりの糸。印つけとしてもつかいます。(しるしつけの項も参照)
しつけ糸

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まつり糸

blind stitch thread ☆☆☆お好みで・なくても代用可

まつる時につかう糸です。

細くすべりのよい糸で、まつりやすい糸です。必ずまつり糸を使わなくてはいけないという訳ではありません。他の糸でも代用することができますが、場合により蝋引きをかける手間がかかります。

まつり糸

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ボタンつけ糸(穴糸)

button thread ☆☆☆使用するなら必須

強度の必要な時につかう糸です。

ボタンをつける時やボタンホール、ステッチ、ホック、表地と裏地を繋げるループをつくる時などにつかいます。そのままではなく、蝋引き(ろうびき)の処理をします。
ボタンつけ糸

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刺繍糸(ししゅう糸)

embroidery thread ☆☆☆刺繍するなら必須

刺繍をする時につかう糸。

柄やふちどりなど、装飾として使用することの多い糸。手縫い糸やミシン糸よりもよりの緩いもので、その緩さを生かし厚みを出して立体的な表現ができるのも特徴のひとつ。
8mの糸を一本にまとめて紙でとめている形状なため、店頭では透明な箱棚に入れられて販売されていることが多いです。光沢の有無や、金銀など色鮮やかなものもあり、多色なのでグラデーションの表現もできます。メーカーは「DMC」「オリムパス」などが有名で手に入りやすいです。
刺繍糸

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「オリムパス」の場合、よられた糸6本がさらに緩くよられています。刺繍の縫い方で「3本どり」と書かれている場合は6本のうち3本をとり、束ねて使用することをさします。

ニット用糸

knit thread ☆☆☆ニット地を使用するなら必要

ニット地(伸びる生地)用の糸です。

伸縮性のある糸。(画像

ロックミシン用糸

lockstitch machine thread ☆☆☆ロックミシンを使用するなら必要

ロックミシンでつかう糸です。
 
ロックミシンとは主に布端の処理をする時につかうミシンの一種です。ニット地などには特に本縫いと端の処理が同時に行えるので非常に便利です。
糸は「主線となる針糸」と「布端をかがる(覆う)ルーパー糸(振り糸)」が必要になります。最低2本からで、数が多くなるにつれて仕上がりも綺麗になります。(4本糸ロックはさらにルーパー糸をおさえるための針糸が加わります)主に90番1500m巻きのものが手に入りやすいでしょう。
ロックミシンの糸説明

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2本針4本糸ロックってどういうこと?

「2本針」はロックミシンに2本針があること。「4本糸」は糸を4本つかって縫うことをさします。この場合「2本針」なので糸4本中2本は針に糸を通して縫うことになります。(①④の位置)

1本針2本糸ロックの場合は、1本の針と2本の糸をつかって縫うことをさします。糸2本中1本は針に糸を通して縫うことになります。では問題です。「1本針3本糸ロック」の場合はどうなるでしょうか?

1本の針と3本の糸をつかって縫うことだから、糸3本中1本は針に糸を通して縫う。かな?

正解です!

ミシン糸よりもロックミシン用の糸の方が割安のため、端の処理方法によっては糸を変えてコストダウンすることもできます。

ロックミシン糸

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本縫い線端かがり(ロックミシン)が離れている場合」
本縫い線ミシン糸で縫い、端かがり(ロックミシン)は全部ロックミシン糸にする。
「ニットなどの本縫い線と端かがりが一緒な場合」
針糸ニット用またはミシン糸し、端かがりをロックミシン糸にする。
強度が必要な本縫い線(仕上がり線)はロックミシン用の糸の使用を避ける方がよいでしょう。※詳しくは本縫いの項参照。

ウーリーロックミシン糸

woolly yarn thread ☆☆☆ロックミシンを使用し、用途として必要なら

ニット地(伸びる生地)やドレスなどのすそ・端処理に使用します。

ウーリーロックミシン糸

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主にロックミシンでルーパー糸として使用。糸の中で最も伸縮性が大きい。ほつれやすい生地の端処理などに最適です。ナイロン100%

特殊糸(透明・水溶性(溶ける)・熱接着

clear thread / water‐soluble thread / thermal bonding thread
☆☆☆お好みで・なくても大丈夫

特殊な糸。ここでは用途別の商品をご紹介します。

  • モノカラー
    透明なため、縫い目を目立たせたくない時に使用します。ナイロン製で熱に弱く、溶けてしまうためアイロンには気をつけましょう。ナイロン100%
    モノカラー

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  • 水溶性縫い糸
    しつけ糸として本品を使用し、通常通り本縫いをします。完成後に水洗いをすれば水溶性なため溶けてなくなり、しつけ糸をほどく手間がないというもの。ビニロン100%
  • メルター 熱接着糸
    熱を加えると接着できる糸。しつけやギャザーを入れる時などに仮押さえとして使用できます。ナイロン100%

3点ともフジックス社製

糸通し(スレダー)

needle threaders ☆☆☆お好みで・なくても大丈夫

針に糸を通すのが困難な人はあると便利です。

まとめ

  • 複数の糸をよりあわせて強さと一本の形をつくっている
  • 生地や用途に合わせて選ぶ
  • 番手数が大きいほど細くなる

初めてならこれを買ってみよう!

  • しつけ糸しろも、または、いろも)
  • カタン糸(50番)
  • ミシン糸 普通地用(60番)黒(ミシンを使うなら)
  • 手縫い糸、まつり糸、ボタンつけ糸、刺繍糸、ニット用糸、ロックミシン用糸、ウーリー糸、特殊糸は使用する機会が出来てからで構いません。
  • 糸通しは苦手な人は買ってみよう。

まずは練習用として黒が見やすいため、黒色としていますが、白や淡い色などの目立たない色以外ならお好きな色でもも大丈夫です。

購入の際に必ず番手を知らないとだめかというとそうでもありません。目で太さを確認するか商品の使用別(普通地用、細口など)が書かれているのでよく確認しましょう。

初めてだから全色そろえなきゃいけないの?

そんなことはありません。
作品をつくる段階になったら使用する布に合わせて選びます。買い足す際はメーカー色の番号を覚えておきましょう。

店頭で購入する際に白黒以外は必ず布の端きれをもって行き、布の色に近いものを探しましょう。近い色でも濃いものと薄いもので迷った場合は並べて、よりなじむ方を選びます。(濃い方が白浮きせずなじむ傾向にあります)

生地と糸の色合わせ

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柄物の場合は一番多く使われている色に合わせます。
また主線(本縫いの主な縫い目)は布に近い色で縫い、デザイン的にステッチ(フチ飾りの縫い目など)には敢えて別の色を使うこともあります。