
はさみってどんなのがいいの?

材質の種類
着鋼の工程がないため量産しやすく中価格。全体が硬い鋼な故に不調になると、修正が困難であるとされています。そのため落としたりすると着鋼よりも刃が欠けやすく折れたりします。西欧の刃物は全鋼タイプが主流です。
日本刀で使用される伝統的な技工を取り入れています。全鋼よりも耐久性があり、販売時に「プロ仕様」「高級ばさみ」と書かれているものは付け鋼であることが多く、中~高価格(数千円~数万円)になります。
鋼より軽く、サビにも強いため扱いやすいはさみ。刃先が丸いものもあり、お子さんと一緒に作業する場合はこちらがいいでしょう。価格も低価格からあり、千円代からも購入できます。
左利きの方向けへの左手用のはさみもあります。
手入れの仕方
はさみは使用しているうちにネジの部分の緩みなどで噛み合わせが悪くなったり、サビたり扱いが悪いと欠けたりもします。
- 普段のお手入れは使用後に柔らかい布で刃を軽く拭いておく
- 数日使わない場合はミシン油を少しふくませた布で拭いておく
(※汚れるため使用前はなじませた油を布でぬぐう) - 湿気の少ない所で保管する
- 定期的に研ぎ屋へ研ぎに出す

サビたり、切りづらくなった場合はどうしたらいいの?

安価な紙切りばさみの場合は「世間で言われている、折って厚みを出したアルミホイルを切る」や「簡易研ぎ器」などを応急処置として使用しても良いと思います。
ただ、中価格~高価格の紙切りばさみや、糸切りばさみ、裁ちばさみは調節がとても繊細なため、上記の応急処置はせずにプロの研ぎ屋へ頼むのが一番です。
研ぎ屋について
学校や職場で使用している場合は、定期的に一括して研ぎ屋へ出すメンテナンスを行うこともありますが、個人では自分で探さなくてはいけません。街で探す場合は、包丁やはさみを取り扱う刃物専門店などで研ぎの受付もほぼ行っています。また現在では便利になり、遠方からでも発送すれば研いでくれる研ぎ屋も増えました。研ぐ職人さん個人の腕に左右されるため、選ぶ際は十分確認しましょう。

ここで突然ですが問題です!
はさみの数の数え方はなんというでしょうか?答えはこのページの最後にあります。
★の数はおすすめ度です。
糸切りばさみ(握りばさみ)
thread nippers ★★★★必須
糸を切るはさみです。
指を入れて切るはさみより、握る形(握りばさみ)のほうが切るまでの動作が少なくて済むため、おすすめです。握る部分に布を巻いたり、使い勝手を変えてみるのもよいでしょう。
- 90mm(9cm 3寸) 小さいサイズ
- 105mm(10.5cm 3寸5分) 標準サイズ
- 120mm(12cm 4寸)
- 150mm(15cm 5寸) 大きいサイズ
刃先の長さが短いもの(爪型)と、長いもの(長刃)、鋭利なものや丸いもの、刃が反っているものなど。用途により様々な形があります。
価格は材質や用途により異なり、数千円から数万円します。
裁ちばさみ(布切りばさみ ラシャ切鋏)
dressmaker shears ★★★★必須
布を切る大きなはさみです。
真っすぐなモノのほか、切る際に布が浮きづらいように机にそった形のモノもあります。薄い紙であっても紙の繊維と布の繊維では硬さが異なります。裁ちばさみで紙を切るのは絶対にやめましょう。布が切れなくなる原因になります。
「裁ちばさみ」と検索すると「ラシャ切鋏(きりばさみ)」と出てくることがあります。ラシャとは「羅紗 raxa」と書き、ポルトガル語で毛織物のことをさします。よって「ラシャ切鋏」は「毛織物を切るはさみ」と言う意味です。
- 200mm(20cm) 小さいサイズ
- 240mm(24cm) 標準サイズ
- 260mm (26cm)
- 280mm (28cm)
- 300mm(30cm) 大きいサイズ
全体のサイズが小さければそれだけ手を入れる所も、刃の長さも小さくなるため、小さいサイズは手の小さい人や小物を扱う人には向いています。
逆に大きいサイズは手の大きい人や大きな物を扱う人に向いています。
(必ずしもこれでなければダメという事ではありませんが参考として例を挙げています)

ちなみに管理人が使用しているのは学生時代に購入した一般的な240mmで着鋼。本体の重さは約240gと少々重めです。
より詳しく知りたい場合は餅は餅屋。はさみ職人や、はさみや刃物の製造メーカーのHPを検索してみましょう。
選ぶ時はココをチェック
・切れ味
・手になじむかどうか
・ブランドにこだわるかどうか
・予算
どのような使い方をするのか
初心者が購入すると言っても使用頻度や用途により異なります。
- 年にどのくらい使うのか → 少ない 多い → 耐久性とメンテナンスを見る
- 小物か衣服や大物か → 小さいサイズ 大きいサイズ
- つくる生地や素材 → 薄地~厚地 特殊 固い → 刃物の特性を見る
切れ味と手になじむかどうか
これは、できるお店が限られますが試し切りをすることでしかわかりません。また材質による重さや手の大きさにより持ちやすさも変わってきます。
購入後に個人でできることは握る部分に布を巻いて手になじむように加工したり、メンテナンスを怠らないようにしましょう。
切れ味の良さについて 着鋼(付け鋼)> 全鋼 > ステンレス の順とされてきましたが、現代では改良された高級ステンレスというものもあります。
ブランドにこだわるかどうか
日本刀の技工を受け継ぐ刃物の製造会社の中には刀工(とうこう(刀をつくる人 / 刀鍛冶))の銘入りのはさみを生産している所が多く「庄三郎」「菊一文字」「長太郎」「菊和弘」などが有名で、他にも数多く存在しています。
または、手芸用品のメーカー「クロバー(Clover)」や刃物のメーカー「貝印(KAI)」などがオリジナルのはさみを販売していることもあります。
小回りの利くはさみ(手芸用ばさみ)
skillful scissors ★★☆☆あると便利

他のはさみがあるのに必要なの?

縫い目のきわまで切り込みを入れたり、ボタンホールやポケットなどの細かい作業をする際に切れ味のよいはさみがあると便利です。
糸切りはさみでは布が切りづらい、裁ちばさみでは重くて小回りがききづらい、この2つの中間くらいにあたる手のひらサイズのものがおすすめです。
パッチワークやキルト、刺繍などの作業時にも便利です。
紙切りばさみ(製図用)
paper cutting scissors ★★★★必須
紙を切るためのはさみです。
おもに製図の時に使います。衣服や大物をつくる場合は刃先の長い方が切る動作が少なくて済むのでおすすめです。型紙を切り出すほかに、1枚紙以上の大きなものや補正によって用紙を継ぎ貼りしたりするため、のりや粘着テープで汚れもつきやすくなります。使用しているうちに切れ味は劣りますが気兼ねなく使える100均のはさみでも十分使えます。またステンレス製が主流で特殊な加工を施したものもあり、粘着剤がつきにくい高価格なはさみも販売されています。
ピンキングばさみ
pinking scissors ★☆☆☆お好みで・なくても大丈夫
ジグザグの山型に切れるはさみです。
布の端を山型にすることで布のほつれを遅らせたり、飾りとしてジグザグの形を利用する場合もあります。
カッター ロータリーカッター(円形刃)
cutter rotary cutter ★☆☆☆お好みで・なくても大丈夫
主に製図で紙を切る時に使います。文房具としてよく見る一般的なカッターです。長方形の刃を押し出して、紙に対して引いて切ります。刃先が悪くなったら折って新しくしましょう。また一般的な物のほか、皮革用などの特殊なカッターもあります。
円形の刃のついたカッター。紙や布を切る時に使います。布は薄く動きやすいものからビニール、皮革など様々な素材に使えますが、紙専用と布専用とわけた方がよいでしょう。刃を保護する黒いプレートを手前に引いて刃を出し、紙に対して押して切ります。刃が悪くなったら替え刃を付け替えて新しくします。なお、新しい刃はとてもよく切れるため、扱いには十分気をつけてください。
はさみとカッター、使いやすい方でどちらでもかまいません。カッターも長く使い続けると切れ味が悪くなったり、サビたりします。カッターの場合は替え刃も購入しておきましょう。
カッターボード(マット)
cutter board ★★☆☆あると便利
カッターなどを使う際に机を傷つけないように下に敷くものです。
方眼罫(マス目、グリッド、目盛、めもり)の入ったものもあります。
まとめ
- 紙切りと糸切りと布切りが必要
- 紙を切るはさみと布を切るはさみを必ずわける
- 普段のお手入れで長持ちする
- 定期的に刃を研いでもらう(カッターの場合は交換)

初めてならこれを買ってみよう!
- 糸切りばさみ
- 裁ちばさみ
- 紙切りばさみまたはカッター
必要になったら、他のものも買い揃えてみよう。

では最後に問題の答えは、わかったかな?

ヒントちょうだい!

同じ刃物の包丁も同じ数え方をするよ。

なんだったかなあ?

はさみの数え方の答えは・・・
「一挺」または「一丁」と書き、どちらも「いっちょう」と読みます。